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「男性学」の第一人者/田中俊之先生に聞きました

ママプレナー®から男性へ5つの質問 ——武蔵大学社会学部助教・田中俊之さんに聞きました

ママプレナー®から男性へ5つの質問 ——武蔵大学社会学部助教・田中俊之さんに聞きました

 

子育てをしながら、自分の事業をしていく。「ママプレナー®」として女性が生きていくためには、「男性はこうあるべき」「女性はこうあるべき」という従来の固定的なイメージが、障壁となってしまうことも多々あるでしょう。

では男女間、夫婦間で良好なパートナーシップを築いていくためのヒントは、一体どこにあるのか……? それを探る第一歩として、今回は「男性学」の第一人者である、武蔵大学助教の田中俊之先生に、「ところで、男性たちはどう思っていますか?」という女性たちからの率直な疑問に答えていただきました。

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Q1 : 「女性が働く」ことに対して、男性、そして社会の考え方は変わってきていると思いますか?

Q2 : 男性が家事・育児に参加するために、現状ハードルになっていることは何ですか?

Q3 : 男性が「働き方」を変えるためにもう一押し、必要なことは何でしょうか?

Q4 : 女性が「ママプレナー®になる(=自分で事業をする)」ことについて、どう思いますか?

Q5 : これからの時代、男女が良好なパートナーシップを築いていくために、大切なことは何でしょうか?

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Profile

田中俊之さん(Toshiyuki Tanaka)

社会学博士、武蔵大学助教(社会学部社会学科)。専門は「男性学」「キャリア教育論」。日本ではまだマイナーな「男性学」研究の第一人者として活躍中。著作:「男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学」(中共出版,2015)/「<40男>はなぜ嫌われるか 」(イースト新書,2015)/「男が働かない、いいじゃないか! 」(講談社+α新書,2016/3/8発売予定)

 

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Q1 : 「女性が働く」ことに対して、男性、そして社会の考え方は変わってきていると思いますか?

 

― 本音として、男性のみなさんはどう感じているのかお聞きしたいです。

そこは世代の問題が大きいのではないでしょうか。50代、60代以上の男性経営者層は、女性を戦力としてみなしていないケースが多いと思います。しかしそれも仕方ないことで、当時は女性が結婚や出産を機に退職するのが前提でしたからね。女性自身も、フルタイムで定年まで働き続けると考えていた人は少なかったでしょう。

― 確かにそうですね……。

メディアが流している家族像も、その価値観からずっと変わっていません。例えば食べもののTVCMで、エプロンをつけて料理をし、食卓に並べているのは今でもお母さん。大人が作る「家族」のイメージが変わっていないのですから、子どもや若者たちが抱くイメージもそう簡単には変わりませんよね。

― 長年受け継がれてきた価値観を変えるのは大変なことですね。

価値観が揺らぎはじめているのは、まさに今、結婚・出産といったライフイベントに直面している30代~40代の男女です。「男性が働き、女性は家庭に」という今までの「家族」のイメージを抱いたまま大人になったものの、男性だけがどんなにがんばって働いても、現実問題として一家を支えるほど簡単に稼げない。雇用も不安定で、年功序列の保障もありません。彼らが「あれ、思っていたのとちがう」と戸惑いはじめているのは確かだと思います。

 


 

Q2 : 男性が家事・育児に参加するために、現状ハードルになっていることは何ですか?

 

― 結婚・出産期をむかえた世代が、これまでの価値観ではもうやっていけないことに気づいたとして、なかなか生活を変えていけない原因はどこにあると思われますか。

今のところ、社会的に男性を評価する仕組みが「仕事」しかないんですよね。それ以外に計る指標がない。そのため、もう2〜30年以上前から問題視されてきた長時間労働の問題も、これまで一向に解決する気配がなかったんです。

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― 最近ようやく、具体的に長時間労働などを見直す動きが出ているように思いますが、いかがですか?

例え長時間労働が解消したとしても、コアタイムに会社にいて、働いているのが当たり前という認識は根強いですよね。権利として認められている有給休暇ですら、取得することに後ろめたさを感じる男性も多いものです。しかし、特に育児に参加しようと思ったら、毎日コントロールできないことの連続のはず。それなのに完全にコアな時間を会社に固定されているので、身動きすら取れない状態なんです。まったく融通がきかないというか。

 

 

Q3 : 男性が「働き方」を変えるためにもう一押し、必要なことは何でしょうか?

 

― コアタイムが完全に縛られてしまうような、日本の会社での「働き方」が少しずつ変わっていけば、家族のあり方も変わっていくのでしょうか。

現在のオーソドックスな働き方に対して、矛盾を感じる男性は着実に増えてきています。葛藤や矛盾は、変化のきざしですからね。彼らが今後、社会を変えるキーマンになっていくはずです。

― しかし男性からすると、従来通り家族を支えるために働かなければならないうえに、家事・育児にも参加することが求められるのはプレッシャーですか?

正直、それはありますね。とにかく今は、個人や家族だけで解決しなければならないことが多すぎますから。

― なるほど。

例えば、会社の長時間労働を解消するために「個人の生産性を上げろ」と言われますよね。もちろん、働く側もある程度は意識する必要がありますが、決して、単純に一人ひとりの努力だけですむ話ではありません。家事・育児もそうです。男女限らず、物理的な時間が足りていないんですよ。全員がスーパーマンのような生活をできるわけではありませんからね。

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― 個人の意識が変わることも大切ですが、同時に会社や組織も変わらないと……。

そうですね。理想的な労働環境を実現するのは難しいといわれますが、最近では実際、長時間労働をやめ、多様な働き方を認めることで、結果的に競争力を高め、業績を上げている企業もあります。そうした事例が増えていけば、自ずと組織のあり方も変わっていくのではないでしょうか。

 

 

 

Q4 : 女性が「ママプレナー®になる(=自分で事業をする)」ことについて、どう思いますか?

 

― 私たちは「ママプレナー®」を社会に増やしたいと考えているのですが、女性が子育てをしながら自分で事業をすることについて、どう思われますか。

女性に限らず、起業はいいと思います。今の日本では、「働く」といえば自動的に「雇われる」ことをイメージする人がほとんどでしょう。実際、人口の8割は雇用されて働いている人たちです。しかしほんの60年前、1950年代の雇用率は4割ほどにすぎませんでした。

― いつの間にか、雇用される以外に選択肢がないような認識が広まってしまったんですね。

「会社に行かなければいけない」「平日は9時-18時で働かなければいけない」……そうしたイメージが強すぎて、今はそもそも「自分で仕事を作る」感覚を持っていない人が多いです。しかし自分で事業をするなら、会社に縛られることもなく、ルールを再設定することができます。そのメリットを最大限活用し、生活のバランスを取っていくのもひとつの選択肢になりますよね。

 


 

Q5 : これからの時代、男女が良好なパートナーシップを築いていくために、大切なことは何でしょうか?

 

― 女性が「ママプレナー®」として新たなワーク&ライフバランスを実現するためにも、男性が長時間労働から抜け出し、家事・育児に参加しやすくするにも、夫婦がお互いに理解し合い、良好なパートナーシップを築きたいところです。そのために、大切なことは何だとお考えでしょうか。

先ほども話したように、個人や家庭だけで解決しようとしないことですね。男性も女性も、今の生活に疑問はあるけど、忙しくて夫婦間ですら話ができない状態の人が多いと思います。考える時間と、自分の考えていることを言葉にして、人と共有する場が足りていないんです。

― 確かに、家庭の中で培われた「男は(女は)こうあるべき」という価値観が、また家庭の中に持ち込まれ、そこについての違和感について話し合う場はあまりないかもしれませんね。

そもそも本当は、人間を男と女たった2種類にわけて、それぞれ「こうあるべき」と議論していること自体が無茶なのだと感じます。多様な考えがあってしかるべきですし、その人がどんな選択肢を選んだとしても、後ろ指をさされることなく生きていける社会にしていきたいですね。

 


 

■田中俊之先生の著作

男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学」(中共出版,2015)

<40男>はなぜ嫌われるか 」(イースト新書,2015)

男が働かない、いいじゃないか! 」(講談社+α新書,2016/3/8発売予定)

 

 

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