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3人の子育て真っ只中! サイボウズ株式会社/青野慶久社長に聞く

「あきらめる」ことが、夫婦間パートナーシップの秘訣?(後編)

「あきらめる」ことが、夫婦間パートナーシップの秘訣?(後編)

女性がママプレナー®として仕事と育児を両立するためには、パートナーの協力が不可欠です。しかし30代を中心とした新たなパパ・ママ世代は、「父親は仕事、母親が家事・育児」という価値観のなかで育ってきた人が大半。その考え方はもはや古く、これから通用しなくなることはわかっている。でも、じゃあ具体的にどう生活を変えていけばいいのかーー? 女性も男性もその段階で戸惑ってしまい、行動につなげられていない人が多いのではないでしょうか。

* * *

3人のお子さんを育てている父親であり、上場企業の経営者でもある、サイボウズ株式会社、青野慶久社長インタビューの後編をお届けします。前編では、毎日どのようなスケジュールで仕事と育児を両立されているのか、またそうした生活に切り替えることになったきっかけなどについておうかがいしました。続いて後編では、古い価値観を変えるために必要なこと、夫婦間のパートナーシップなどについてお話いただきました。

▼前編はこちら

「超仕事人間」の父親が、育児のために時短勤務を選ぶまで(前編) —2015/6/22

 

Profile

青野慶久(あおの・よしひさ)さん

グループウェア市場を牽引する、サイボウズ株式会社代表取締役社長。1971年愛媛県今治市生まれ。

大学卒業後、松下電工に入社。1997年、愛媛県松山市にてサイボウズ株式会社を設立し、

副社長兼マーケティング担当としてWebグループウェア市場を開拓。

2005年に代表取締役社長に就任。現在3児の父であり、育児にも奮闘中。

 

NEW

会社で決めた育休制度を、 自分が使う気は全くなかった

―サイボウズでは多様な働き方ができる制度が整っているそうですが、それも青野さんご自身が「子育ては社会にとって優先すべきこと」とお考えになったのがきっかけになっているのですか?

ああ、いや。会社の制度づくりについては、僕に子どもが生まれる前からいろいろと取り組んでいたんですよ。それは育児のためというよりも、「みんな楽しく働ければいい」というノリでした。

―そうなんですか。それは意外でした。

そこは、よく勘違いされるところですね。社員に対しては「育休は6年取っていいよ」という制度をつくったものの、「まあ俺は取らないけど」と、心のどこかで思っていました。

―ご自分が使うことは想定されていなかったと。

そうですね。そうした意味では、僕に子どもが生まれて、僕自身が育休や時短勤務をするようになったことで、社員もより安心して制度を活用できるようになったんじゃないかと思います。社長が毎日、16時きっかりに「子どもを迎えにいくので、じゃあ!」といってさっさと帰るわけですから。

―社員さんの立場からすれば「ああ、それでいいんだ!」と思えますよね。

でもおそらく、上場企業の社長で、僕の後に育休を取った人というのはまだ出ていないんです。行政の区長は数人続いているのですが……。それこそが、今いちばん根深い問題だと思っています。「働く男」側の問題です。

 


 

働きすぎる男性の価値観は どうすれば変わるのか?

働きすぎる男性の価値観は どうすれば変わるのか?

―子育てに関して女性だけががんばるのではなく、男性も変わらなければならない……という風潮が、ここ数年でようやく出てきましたよね。ここからあと一押し、男性の価値観を変えるためには何が必要でしょうか?

もちろん男性自身も変わらなければなりませんが、同時に女性にも、男性に対する見方を変えてもらうことが必要だと感じます。

今、男性の長時間労働が家事・育児への参画をさまたげているといわれますが、男も別に、好きで長時間働きたい人ばかりではないんですよね。でも男性の多くが、いまだに「男は働いて一家の大黒柱であるべき」という価値観にしばられているんです。

―ああ……。

例えばせっかく育休を取ったとしても、平日にベビーカーを押して公園などを歩いていようものなら「あの人、男のクセに何してるの? 職がないのかしら」といわれてしまう。これが女性なら、ごくふつうの光景であるはずですよね。

―そうですね。

男は家族のために身を粉にして働き、会社で昇進しなければいけない。リストラされないように、食らいついていかなければならないーーそうした男性に対する見方が変わらないと、男性自身もなかなか変わっていけないと思います。

―男性も女性も、お互い染みついている価値観を一度手放さなければならないということですね。

そうです。今や男性は「子どもができたら、女が専業主婦になるべき」などと思っていてはいけないし、女性も「男が働いて家族を養うべき」という考えは捨てなければいけない。固定観念を一度手放したうえで、じっくりとお互いの価値観をすり合わせることだと思います。

―できれば夫婦になる前に、ですね。

ただそれをふまえた結果であれば、女性が専業主婦になったっていいんですよ。男性が必ずしも育休を取る必要もない。そのふたりが幸せなら、それでいいんです。共働きがベストであるとは限らないし、もっといえば、そもそも結婚しない人がいたっていい。必要なのは、多様な価値観を受け入れ、認めあうということですからね。

 


 

男女がお互い、100%を 求め合うから苦しくなる

―青野さんご自身は、奥様とどのように関係性を築いていらっしゃるのですか?

関係性は日々変化しているというか、ずっと戦い続けているような感じですね。子どもが生まれてからも、相当ケンカしてきましたから。もうどれほど言い合いをしたかわからないですよ。

―お互い、言いたいことは我慢せずに言い合ってきた……という感じでしょうか。

うーん……どうでしょう。そうとも言えるかもしれません。でもそれがよかったのか、悪かったのか、正直まだわかりません。これからも、子どもの成長とともに変わっていくでしょうしね。僕も隙あらば、仕事をバリバリする日々に戻りたいとひそかに思っていますし(笑) でも、3人目の子どもが生まれてようやく、僕も妻も、お互いどこかあきらめはじめたところがあると思います。

―あきらめる。

そうです。例えば最近、僕は料理をはじめたんですけど……。

―えっ、青野さんご自身がですか?

そう。今までは料理だけは絶対にやるまい、と心に決めていたんだけどね。

―それなのになぜ、料理をするようになったのですか?

長男が、最近習いごとをはじめたんです。妻が毎週木曜日にそのつきそいをするので、その日は僕が夕飯を作っておけ、と。

―奥様からのご要望でしたか(笑)

そうそう。それも、もう拒否しても仕方ないからあきらめて(笑) 毎週木曜は帰りにスーパーへ寄って、材料を買って家で僕が夕飯を作って待っているという。

―それはすごいですね。驚きました。

まあでも、仕方なしでもやってみると、料理も意外とおもしろくてね。料理する喜びというものを、人生ではじめて味わっているかもしれないです。

―なるほど……。どこかでお互い譲歩するということが、夫婦のパートナーシップを維持するうえで重要なことなのでしょうか。

そう思いますね。「あきらめる」って、けっこう大事ですよ。やっぱり自分が望むもの、すべては手に入りませんから。どんなにがんばったとしても、仕事も育児も、何もかもを自分の思い通りにするというのは、絶対に無理。

それを、夫婦のあいだでそれぞれが譲らずに求め合うから、どんどん苦しくなってしまうんです。ですから、あるラインを越えたらあきらめて、相手を受け入れてみること。そのうえで、楽しみながらできることをやる、というスタンスが大切なのだと思います。

 


 

 

取材を終えてーー編集部より

取材を終えてーー編集部より

感情的になるでもなく、かといって理想論を語るでもなく、プライベートに関するこちらのぶしつけな質問にもまっすぐに答えてくださいました。

「上場企業の社長で、僕の後に育休を取った人というのはまだ出ていない」という言葉からは、日本の社会が今、抱えている問題の根深さを感じましたが……。

「ママプレナーズ」のメンバーはそれぞれが自分の事業を持っているので、青野さんのお話を聞いていろいろと思うところがあったようです。

育児のための時短勤務中で超多忙な中、インタビューに応じてくださった青野社長。本当にありがとうございました!

 

Photo by Yoko Miyazaki/Text by Yu Oshima

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